GSX-S1000GTのドレスアップを考える回、その①
結論:本気で対策したいならエンジンガードの方が良い、サイドケースは諦めよう
フレームスライダーは立ち転け対策になるのか?
バイク乗りの誰しもに身近に忍び寄る自損事故が立ち転けなわけで、注意していれば常に防げるというものではない。いざ立ち転けしたときに、カウルやフレームに傷がつくと嫌なので、「エンジンガード」とか調べるとフレームスライダーなるものが必ずと言っていいほど出てくる。

ヨシムラ レーシングスライダーKIT「PRO SHIELD」
個人的にだが、バイクのフレームにきりたんぽみたいな棒を刺すタイプのフレームスライダーはそもそも見た目が好きではない。その点、ヨシムラのS1000GT用のフレームスライダーは見た目もいい感じだ。
で、これが立ち転け対策になるのかだが、、おそらく立ち転けには無力だろう。
立ち転けから完全に保護するにはサイズと支点が足りない



これはエンジンガードというよりはスタントケージだが、わかり易い例なのであえて挙げる。
まず乗車位置から見てだいぶ横に張り出している。前から見ればフレームからどの程度張り出しているかがわかるが、このくらい張り出していないとハンドルやミラーはどうしても接地してしまう。
また接地面が2点あるが、立ち転けというのは基本的に直立状態から発生するのでそれなりに勢いがつきやすい。接地面が1点だけだとそこを支点としてハンドルやミラー、カウル上部まで設置してしまう可能性がある。
さらに、背景色と同じでわかりにくいがリアフェンダー付近にもケージが取り付けられている。これがないとリア部部の接地がマフラーになってしまう。
スタントケージ自体は倒れた時に足を挟み込まないようにする目的もあるので多少クリアランスに余裕を持たせている節もあるため、サイズ感は必ずしもここまでないといけないわけではないが、支点についてはフレームスライダーでは同様の役割を果たせないだろう。
サイドケースは確実に犠牲になる
S1000GTでサイドケースは十中八九付けているだろうと考えると、後方の接地はサイドケースにならざるを得ない。
これ以上横幅を持たせてしまうと走行に支障が出そうだし。

フレームスライダーをつけることによって、カウル部分の損傷はもしかしたら防ぐことはできるかもしれないが、、こればっかりは付けて試してみないとわからないな、、
そもそも用途が違うので過信できない
フレームスライダーの目的は転倒時にサーキット外に迅速に車体を流し出すためのものであって立ち転けによるカウル保護などのためではない。ヨシムラのサイト内にも以下のような注意書きがされている。
※本製品は、転倒時のフレームやエンジンのダメージ軽減を目的とした商品ですが、完全に保護するものではありません。
※転倒時の状況により、本製品を装着することで、非装着時よりもダメージが大きくなる場合もございますので、ご了承ください。
で、形状としては流線状のため進行方向に向かって滑ってくれる分にはいいが、横向きで滑っていった場合には地面の凹凸に引っかかる可能性が出てくる。フレームには2点で止まっているとはいえ、それが無ければ面で分散できていた衝撃が2点に集中することになるため局所的ではあるし、スライダー本体は1点で止まっているため凹凸の引っ掛かりなどによる損傷はパーツそのものとしては致命傷になりかねない。
あとシンプルに一般道でフレームスライダーによって滑った結果、歩行者を巻き込んでしまう可能性がある点も考慮しなければいけない。ドレスアップ目的・立ち転け対策としてつけるのは市販されている限りは本人の自由ではあるものの、割と重めの自己責任が伴うことは意識しておきたい。
エンジンスライダーはどうか?

ヨシムラ エンジンケースガードキット クラッチカバー/スターターギアカバーセット

これはエンジンそのものを保護する目的であるため、立ち転けで真っ先に損傷するカウルやマフラーを保護する類のものではない。一方で、エンジンの保護は達成できるため、「外装はいくらでも交換ができるし、純正マフラーに傷が入ったらスリップオンに変えればいいや」というマインドが持てるのであれば、フレームスライダーではなくこちらのエンジンスライダーをつけるのもありだ。
もちろん両方つけるのでもいいが、すっごい高い。
エンジンガードってないの?あるよ



CRAZY IRON エンジンガード GSX-S1000 / カタナ (GSX-S1000S) / GT
見た目もそんなに崩れなさそうだし、立ち転けを本気で対策したいならこれ付けたほうがいいかも。
個人的にはエンジンガードをつけるんだったら GSX-S1000GX につけたいけど、このへんは好み。