結論:エクスター R9000使っとけ
S1000GTの純正オイルは エクスターR9000
そういうわけでエンジンオイルはエクスターR9000を使おう。
これだけだとただの脳死なので、R9000から変えたほうがいいのかを真面目に検討する。
なお、S1000GT自体はK5でもあくまでツアラーなので出力を最大化するとかいうのはどうでもよく、エンジンに負荷をかけない程度に経済的なエンジンオイルが正義とする。
前提として、規格が同じスペックであればなんでもいい
R9000のスペック
- オイル成分(SAE規格):100%化学合成油
- JASO規格:MA2
- オイル粘度:10W-40
- API:SN
オイル成分(ベースオイル)
そもそもオイル成分ってなんやねんという人向け。
特徴・項目 | 鉱物油 | 部分合成油 | 化学合成油 |
---|---|---|---|
製造方法 | 天然の原油を精製・加工して作る。 | 鉱物油に化学合成油を混合したもの。 | 化学的に合成した高性能オイル。 |
耐久性 | △ | ◯ | ◎ |
温度耐性 | △ | ◯ | ◯〜◎ |
燃費性能 | △ | ◯ | ◯〜◎ |
エンジン保護 | △ | ◯ | ◯〜◎ |
価格 | ◎ | ◯ | △〜✕ |
使用期間 | △ | ◯ | ◯〜◎ |
摩耗防止性能 | △ | ◯ | ◯〜◎ |
代表的な使用用途 | 日常的利用 | 中・高排気量、ツーリング。 | 高排気量、サーキット走行。 |

つまるところ、最高性能の化学合成油であれば基本的に外しはしない。とはいえ、後述するJASO規格があるオイルであれば性能面の差は寿命くらいしかないので、「あまり乗らないから安く抑えたい、そんなに交換しなくていい」と考えるなら鉱物油でもOK。S1000GTの場合は距離ガバライドを前提とするので、あまり頻繁に交換するのも億劫なので少なくとも部分合成油以上を選びたい。
ちなみに、化学合成油の中でもグループ3〜5まで分類があり(数字が大きいほど高性能)、グループ3にも3分類存在する。このあたりまで気にしだすと沼なので説明は省くが、グループ4〜5はサーキット走行などの用途で使用するものなので無視してOK。グループ3内の分類も気にしなくていい。
JASO規格
JASOってなんやねんという人向け。
規格 | 適用バイク | 摩擦特性 |
---|---|---|
JASO MA(MA1) | 湿式クラッチを使用する一般的なバイク(中型バイク) | 高い摩擦特性 |
JASO MA2 | 大排気量バイク | 非常に高い摩擦特性 |
JASO MB | 乾式クラッチを使用するバイク、スクーター、小型バイク | 低い摩擦特性 |
S1000GTは998ccの4気筒バイクということで、MA(MA1)では耐熱性観点で不安が残るので、これもMA2しか選択肢がない。(慣らし運転中とか低~中回転でしか走らないならMAでもいい)
オイル粘度
オイルの粘度は、一般的に「10W-40」のように数字とアルファベットで表され、以下の意味がある。
- 前半の数字部分(例:10W、20W、30Wなど)は、低温粘度を示す(「W」はWinter)。低温時のオイルの流れやすさ(寒冷地でのエンジンの始動性)を示し、数字が小さいほど、低温で流れやすい(サラサラ)オイル。
- 後半の数字部分(例:40、50、60など)は、高温粘度を示す。オイルがエンジンの高温時(エンジンが稼働している状態)でどれだけ「粘り強い」かを示し、数字が大きいほど高温での粘度が高くなり、エンジン部品を保護する。

基本的に高音ではオイルがサラサラになりやすく、サラサラのオイルでは油膜が薄くなるのでエンジンへのダメージが懸念される。一方で、低温での粘度が高すぎると始動性が悪くなってしまう。
じゃあ「0W-60」とか最強スペックじゃん!と思うかもしれないが、シベリアにでもすまない限りは0Wのスペックなんていらないし、60だと真夏にバチバチなサーキット走行をするのでも無ければオイルが硬すぎて扱いにくい(=燃費が悪くなる)。

「0W-60」のようなレンジが広いエンジンオイルは添加物(ポリマー系)が多く含まれているので熱に弱く寿命が相当に短い。そもそも、「0W-60」なんか見たこと無い。
真冬で常に氷点下にさらされるような試される大地に住んでいるわけでもなければ、10Wほどあれば必要十分。上は正直走り方にもよるが、S1000GTのようなツアラーであれば新東名を120km巡航する機会も多いだろうからそれなりのスペックは欲しいものの、旅先では街乗りが中心になるであろうことを考えれば30〜40くらいがちょうどいいだろう。
1〜2速のレッドゾーンで高速道路でぶん回したい人であれば50も選択可能で、粘度が上がる分エンジンの健康寿命も伸びるだろう。ただし燃費は悪くなるので、間を取ると40がちょうどええんじゃあ。
R9000のオイル粘度は10W-40なので、この点でも(あたりまえだが)さすが純正。

指定粘度(40)を下回ってしまうと燃費は良くなるだろうが高回転で走ってしまうとエンジンを痛めるので、せっかくK5に乗るなら40以上がベターではある
API(グレード)

エンジンオイルの性能を示すための基準で、オイルがエンジンの保護性能、清浄性能、摩耗防止能力、エンジン内部の汚れを防ぐ能力などを満たしているかどうかを評価するために使用される。
現状はSNが最新・最高性能なので、SN一択…と思うかも知れないが、ぶっちゃけこれはなんでもいい。ワコーズとかだとそもそもAPI規格がない(取っていない)し、最新のAPI規格は省燃費性能や排ガス浄化など環境性能周りの改善がメイン。要は、API規格がないから性能が低いというわけではないし、最新じゃないからといってエンジンオイルに求める性能が低いとも限らない。
R9000のAPIはSNなので、他製品と比較するときにはSNかそうでないかはどうしても比較材料に入ってしまうが、「複数のバイクを所持していてオイルを共通にしたいがコスパで選ぶとAPIが下がってしまう」みたいなケースではあまり気にせずにチョイスしてしまっていいと思う。
同じスペックのオイルの候補
- オイル成分(SAE規格):100%化学合成油
- JASO規格:MA2
- オイル粘度:10W-40
- API:SN(参考程度)
↑と同じスペックのエンジンオイルをピックアップ。
AZ MEB-012 と TEITO PREMIUM M4S がめっちゃ安いので、コスパで選ぶならこの2つ。スポーツ走行多めで回して走りたいという人ならMotul(グループ5)も選択肢に入る。
R9000をスズキのオイルメンバーで買うのが一番コスパがいいかも
とまぁここまで書いたわけだが、スズキワールドのオイルメンバーサービスに加入すればR9000は実質的に1Lあたり¥1,210で購入できる。詳細は下の記事で言及しているが、自分で交換する手間が面倒な人は圧倒的にコスパがいい。
「スズキ車をスズキワールドで買わないとだめじゃん」
という文句は受け付けない。この記事はS1000GTの最適なオイルを検討する記事なのでスズキ車以外は端から対象外。スズキワールドで買う理由は、、各々が見つけてくれ。